ぎゃ=====!!
なんでおまえがランドセルに挟まってんのーー!?
登校班の最後尾で私は慌てふためく…!
私は御年12歳、小学校最高学年…
親にも友達にも、絶対に誰にも見せられない「アイツ」が…
「アイツ」がついて来ていたのだ!!
私には誰にも言えない秘密があった…
それは…
『指しゃぶりをしていること』
誰もが赤ちゃんを連想する、指しゃぶり…
ママの母乳を飲むための練習、不安や退屈を和らげるための自然な行動
3歳頃までには自然と卒業していくらしい。
…のだが。
私は小学6年、いまだに指しゃぶりを卒業できずにいた…
学校から帰ったあとや、夜眠る前の布団の中で、自分の親指をチュッチュチュッチュする…
誰にも見られないように、部屋の中でコッソリと…
「あ〜、癒されるぅ……」
「これが至福のひとときだわぁ……」
しかも、その指しゃぶりには絶対に欠かせないアイテムがある。
それは…
私が赤ちゃんの時に与えられた、緑色のお気に入りタオルだ。
右手で親指をチュッチュと吸い、左手でタオルを鼻に当てて匂いを嗅ぐ…
これが私の指しゃぶりスタイル。
「あぁ、いい匂い……」
私は、このタオルの匂いがたまらなく好きなのだ。
洗濯後のフレッシュな匂いのタオルもいいけれど…
洗わずに一週間ほど経ったタオルの、なんとも言えないかぐわしい匂い…
これがまた大好きで……
指しゃぶりの時には、タオルを絶対に欠かせずにいたのだった…
人知れず部屋にこもり、12年間毎日チュッチュチュッチュ…
スポーツタオルサイズだったタオルは、10cmほどのハギレサイズに…
タオルの色は、鮮やかな緑色からくすんだカーキ色へと変化していた…
「こんな姿、絶対誰にも見せられないわ…」
だけど、この癖は一生やめられない…
これからも続けていくんだろうな、きっと…
…私はそう思っていた。
あの日が来るまでは…!!
その日、私はバタバタと登校準備をしていた。
「やばい、遅れる〜(汗)!」
ハンカチ持った!
ティッシュ持った!
体操着…ランドセルにつめこんだ!!
「行ってきまーす!」
私は登校班の集合場所へと急ぐ!
おぉ、もうみんな集まってるわ…
ス…ッと班の列に加わり
さぁ、出発だ!
私はいつもと同じように、登校班の最後尾を歩いていた。
「今日算数のテストがある〜」
「えー、やばー!」
前を歩く下級生の子たちが、たわいもない話をしている。
その姿を見ながら、私はぼ〜っと歩いていた…
すると…
ぴらぴら~
…ん?
何かが右目の端っこ、視界の隅に入ってきた。
ぴらぴら~
え、何…虫!?
いや、虫にしてはでかいか…
ずっと付いてくる…動く影…
…ランドセルからはみ出てる?
…いや、挟まってるのか?
私は恐る恐るチラリ…
後ろを振り返ってみる…
すると…
ぎゃ=====!!
なんでおまえがランドセルに挟まってんのーー!?
そこには、ボロボロになったハギレが、ランドセルの隙間から力なくなびいていた…
「置いてかないで~!」
まるでそう言っているかのように…
…なぜ、おまえがここにいる!?
(朝、慌てて準備した時に挟まったのか…!?)
鮮やかな赤のランドセルと、澄んだ青空には不似合いなハギレ…
(汚なっ!!ボロ雑巾じゃん……)
私はキョロキョロと辺りをうかがう(汗)!
(やだーー!誰にも見られてないよね…!?)
慌ててタオルを引き抜き、ぐしゃぐしゃに丸めてズボンのポケットに押し込んだ…
『指しゃぶりしてる私、めっちゃ恥ずかしいじゃん!』
そんな気持ちが、初めて芽生えたのだった…
私は教室に到着するやいなや、急いでゴミ箱へ直行した。
バサッ!!
速攻捨ててやった、ボロ雑巾…
今朝まで愛用していた私の相棒だ…
「タオルよ、12年間ありがとう…」
…そんなことは一切思わなかった。
ボロボロになるまで使ったタオルへの感謝の気持ちもなく、私はただただ冷淡に手放した…
私はこの出来事のおかげで、自然に指しゃぶりを卒業することができたのだ…
あれから10数年、私が大人になって知ったこと…
指しゃぶりをやめられない小学生がけっこういる、ということだ。
小学生の指しゃぶりは、安心感を求めたり小さい頃の癖だったりするらしい…
「へぇ、私だけじゃなかったんだ…」
指しゃぶり卒業生の私は、在校生に言ってあげたい。
「一生やめられん!」と思い込んでるその癖も、
何かきっかけがあればすぐにやめられるということ。
結局、「恥ずかしいことだ」「やめた方がいいんだ」と自分自身で気づくことが大切。
気づいたら自分でやめるかどうかを選択して、やめるを選択したらきっと卒業できるから…
気づくこと、やめる選択ができるのは、あなただけなのです……