いらなかったお土産

生活

 
「えっ!?今のなに!?」
 
 
突然、謎の衝撃が私を襲う。
 
 
辺りをキョロキョロしても、何もない。
 
 
そして、その衝撃の正体を知り、私は開いた口がふさがらなかったのだ…
 
 
 
 
「かっかー!たのしかったね!」
 
ベビーカーに乗った3歳の息子がニコニコしながら私に言う。
 
 
「うん!楽しかったね!お土産も買えてよかったね!」
 
 生後3カ月の娘を抱っこ紐で抱えた私は、優しく息子に答えた。
 
 
おでかけをしていた私たちは、今帰り道を歩いているところだ。
 
 
息子はベビーカーの手すりで、お土産の電車のおもちゃを夢中で走らせている。
 
娘は私の胸元で、スヤスヤと夢の中。
 
 
——2人とも、お出かけ中楽しそうにしててよかったー!
 
楽しそうに笑っていた2人の姿を思い出しながら、私も幸せの余韻に浸っていた。
 
 
「でも疲れたねー。早く帰ろねー!」
 
ありきたりな会話を息子と交わしながら、今日も無事1日が終わったと、私はホッとしていた。
 
 
だが、まさかあんなことがこれから起きるなんて、この時は知る由もなかった。
 
 
 
足早にベビーカーを押しながら自宅へ向かっていたその時…
 
 
 
「ドン!!」
 
 
 
(えっ!?えっ!?えっ!?)
 
 
 
突然私に、今まで味わったことのない衝撃が降りかかってきたのだ。
 
 
 
(えっ!?なに!?上?)
 
 
衝撃を感じたのは頭。
 
 
頭に、何かが当たった…
 
 
それは、軟式ボールを投げつけられたのか!?と思うほどの衝撃だった。
 
 
キョロキョロ辺りを見回すも、誰もいない。
 
 
 
誰に何をされたのか分からない気味の悪さに、呆然と立ち尽くしていた。
 
 
 
「かっかー?」
 
 
息子は、そんな私に気付いたようで、不思議そうに私の顔を見上げる。
 
 
 
「う、ううん!なんでもないよ!」
 
 
 
なんでもなくない…
 
 
 
でも何が起きたかサッパリな私は、息子にそう言わざるを得なかった。
 
 
息子の呼びかけに、少し冷静さを取り戻す。
 
 
 
そして、改めて頭の異変にぞっとする。
 
 
 
生ぬるい。
 
 
 
——これは……もしや……
 
 
 
嫌な予感が頭をよぎる。
 
 
 
——嫌や…めっちゃ嫌やけど……
 
 
 
事実を知りたいような、知りたくないような…
 
 
 
揺れ動く気持ち。
 
 
 
そして、恐る恐る、取り出したティッシュを頭に当てる。
 
 
 
そして、そっとティッシュを見ると…
 
 
 
 
深緑色。
 
 
 
いやーーーー!!!
 
 
 
 
そう。それは予想通り、鳥のフンだったのだ。
 
 
 
「気持ち悪いーーー」
 
 
 
今、頭にフンがある。
 
 
勝手に体が身震いする。
 
 
 
——よりによって、なんで頭!?
 
 
——なにあの衝撃!!鳥のフンってあんな強烈やったん!?
 
 
 
ボールが当たったのかと思うくらいの衝撃。
 
 
それがまさかの鳥のフンだったとは。
 
 
 
鳥のフンのまさかのパワーに、私はなぜか圧倒されていた。
 
 
そして私は、フンをした犯人を推理し始めた。
 
 
 
これ絶対カラスよなー。
 
さっき近くにカラスがいた気がする。
 
いや?おらんかったかも…
 
いやいや!絶対カラスや!!
 
 
カラスは勝手に容疑者として指名手配される始末。
 
 
 
「かっかー。帰ろうー。」
 
一人ワタワタしている私をみかねた息子。
 
息子を見て、我に返る。
 
 
——このまま帰るしかない…
 
 
フンを洗い流せる場所がどこにもない。
 
 
私に待ち受けていたもの…
 
 
それはフンも一緒に、連れて帰らなくてはならない運命。
 
 
——もうほんま最悪!!ほんま最悪!!
 
 
 
幸せな気持ちでいっぱいだったのに、一気に急降下。
 
 
怒り。
 
悔しさ。
 
悲しさ。
 
 
負の三拍子が私の心を簡単に埋め尽くした。
 
 
そして、ふと目についたのは、息子が大事そうに抱えているお土産のおもちゃ。
 
 
一方、私が抱えているのは…鳥のフン。
 
 
(こんなお土産いらんわー。)
 
 
 
いらないお土産を抱えながら、私はベビーカーを押し始めた。

2人の子をもつ元看護師。カフェで読書をするのが大好き。あたたかく、やすらぎのある暮らしを目指し中。感性を磨き、自分の経験を元に、心に寄り添える発信をしていきたいです。チャキチャキな大阪弁でのお笑い要素も満載♪ 実績:第4回IWriteグランプリ優勝

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