産後を終わらせたパンチ

出産・育児

「ママ、可愛いね!」
  

4歳の息子は毎朝そう言ってくれる。
  
  
  

産後1年が経っても、体重を戻せずにいる私に。
  
 

この時の私は、いくらでも言い訳があった。
  

「授乳中だから栄養必要だしね!」
「二人育児は体力勝負だからさ!」
 

そんな言い訳を並べながら、好きな時に好きなものを食べる日々。
 
 

甘いおやつも、夜の炭水化物も、
「今は仕方ない」で全部正当化していた。
 
 

ママ友と会えば、話題は決まって同じだ。

「産後って、ほんと戻らないよね〜」

「それ、それ!」

笑いながらうなずいて、そっと現実から目を逸らす。
 
 

誰も困っていない。
 

誰にも責められることもない。
 

私は、完璧な言い訳を盾にしていた。
 
 
そうやって今日も、迷いなくマタニティ服を選んでいる私。
 
もう、妊婦じゃないのに…。
 

『でも動くの楽だしね〜!』 

…そう、ただ楽だから、…楽だから着ているのだ!
 
そう心に言い聞かせていた。
 
 
 
 
 

そんなある日。
  
   
久しぶりに家族旅行へ出かけた。
 

温泉旅館に着き、パパが下の子を見てくれている間に、
私は息子と久しぶりに、二人でお風呂に入ることになった。
 

脱衣所で服を脱ぎながら、息子は弟の話をしてくれる。
 

「さっき、僕の顔見ていっぱい笑ったよ」

「歩くの上手になって可愛いよね」

弟の話になると止まらない息子。
 
 

「そうだね。お兄ちゃんが優しくしてくれるから、弟も嬉しいと思うよ」

微笑ましい会話に、心が温かくなった。
 
 

「ママのお腹にいた時、毎日話しかけたもんね!」
 
 

…そうだった。
 

妊娠中、息子は毎日お腹に話しかけてくれていた。
 
「赤ちゃん、ここにいるの?早く会いたいなー」

と私のお腹を触りながら。
 
 

ふとそんなことを思い出しながら、

温泉に入ろうと最後の一枚を脱いだ——
 
 
 
 
その瞬間。
 
息子が私のお腹を触りながら、真っ直ぐな目で聞いてきた。
 
 

「ママ、お腹に赤ちゃんいるの?」
 
 

……ぇ
 
一瞬、頭の中が真っ白になる。
 
 
「……ぇ……いないよ?」

そう答えたけれど、声は驚くほど頼りなかった。
 
 
 
すると息子は、首をかしげて

「え? だって、お腹大きいままだから…赤ちゃんいるのかなって思って」
 
 
 

追撃っ!
 
 

私は反射的にお腹に力を入れる。
 
ギュッ!
 

……でも、引っ込まないっ
 

周りには他のお客さんもいた…
 
 

裸で、逃げ場もない…っ
 

もう、顔から火が出るほど恥ずかしいっ!
 
 

そんな私を見て、息子はただ不思議そうに首を傾げていた。
 
 
 

同じ「ママ、赤ちゃんいるの?」という言葉なのに、
あの時とは意味が全く違った…。
 
 

ああ…これはもう「産後」じゃない。
 
 

ただの、私の怠けだ。
 
 

今まで積み重ねてきた言い訳が、
バラバラと崩れ落ちていく気がした…。
 
 
これが息子のまっすぐな言葉に、目が覚めた瞬間だった。
 
 
 

もう言い訳しない!

絶対に目を逸らさない!
 
 

「ママ、ダイエットする!絶対に!」

心から、そう思えた。
 
 
 

私のことを毎日
「可愛い」と言ってくれる息子。
 
 

でも私は、
その言葉に甘えるだけのママじゃいたくない!
 

息子に恥ずかしくないママでいたい!
 
 
 

そう決意した。

30代 | 夫、息子2人、保護猫と暮らす。 友人と10年カフェを経営、妊娠を機に現場を離れる。在宅での仕事に魅力を感じ、ライターの道へ。映画鑑賞、読書、レザークラフト、ガラス彫刻など…引きこもり系趣味をもった、インドア主婦。

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